澤田研二新聞2010: JULIE with THE WILD ONES 鳥塚繁樹(鳥塚しげき)訪問


NEXT10 :
ミュージシャン・鳥塚しげきさん「音楽で、日本をもっと元気にしたい!」(前編)
2010年02月09日  読売新聞 YOMIURI ONLINE

1966年、立教大学在学中に「ザ・ワイルドワンズ」のメンバーになり、デビュー曲『思い出の渚』で作詞家としての第一歩を記した鳥塚しげきさん。ラジオのパーソナリティなど、タレントとしても活動。 「音楽で日本を元気に!」という思いを胸に、全国各地でライブ活動を展開している。

ずっと歌い続けたいから、体をケアしています

—2月10日に『ジュリーwithザ・ワイルドワンズ』というシングルCDが発売されるそうですね。現在の活動は、「ザ・ワイルドワンズ」が中心ですか?

そうですね。年間100日くらいは、「ザ・ワイルドワンズ」でライブコンサートをやっています。昨年は「加山雄三とザ・ワイルドワンズ」で全国50か所を回ったんですよ。これはとても好評でした。それから、「ザ・ワイルドワンズ」のリーダー加瀬邦彦の店、銀座のケネディハウスで、月2回ライブをやっています。このうち1回は、最近始めたアコースティックのライブなんですよ。ずっとエレキでやってきたので、アコースティックライブのために新しいレパートリーを増やすのを楽しんでいます。


—どうしてまた、アコースティックライブをやろうと思ったんですか?

これは、全国に立派なクラシック音楽用のホールがたくさんあるけれど、実はあまり使われていない、という話を聞いたのがきっかけでした。せっかく立派なホールがあるんだから、そこでコンサートをやりたいと思ったのですが、ホールの構造上エレキ音楽は向かない。そこで、アコースティックでやってみようということになったのです。今は月1回ライブをやりながら、これまでやらなかったラテン、ジャズなど、新しいジャンルの曲にも挑戦しています。これまでと違った「ザ・ワイルドワンズ」の味が出てきているので、もうすこし内容を練り上げて、そのうち全国のクラシック音楽用のホールを回りたいと思っています。

—それは、ファンには楽しみですね。

個人の活動としては、ヴィレッジシンガーズの小松久と組んだ「とりづか+こまつ」というユニットでライブをやっています。それから、2003年から毎年1、2回、ダンスパーティーを主催しています。ホテルに会場を設えて、大学時代の友人やその仲間、そのまた友人たちが集まって踊るんですよ。音楽は50年代、60年代のオールデイズ。これは楽しいですよ。僕は1947年生まれですが、僕らの若い頃の歌は洋ものでも日本語の詞がついて日本のシンガーがカバーしてましたからね。そういうオールデイズの曲を演奏すると、踊りながら歌っている人がたくさんいます。ダンスパーティーで踊って歌うのはとても楽しいらしく、終わったとたんに「次はいつやるんだ?」と聞かれます。

—ダンスパーティーで楽しく踊れるところに、団塊の世代のパワーを感じます。

若い頃にはやった「ダンパ」ですからね(笑)。若いときも楽しかったけど、僕たちの年齢でダンスを踊ると、みんな若返ります。おしゃれをして集まるとわくわくするし、適度に体の接触もあるから、気持ちが華やぐでしょ。それがいいんですよ。だから、連れ合いでもガールフレンド、ボーイフレンドでもいいので、どんどん誘って参加して下さいって呼びかけているんです。 準備はけっこう大変なんですが、参加者の喜ぶ顔を見ると、また次も企画しようと思います。

—1947年生まれということは63歳ですが、精力的にいろいろな活動をしていらっしゃいますね。ご自分の年齢を意識したことは?

常に目標を持って、いろいろなことをやっているので、とくに年齢を意識したことはないですね。目標をクリアして、また翌年を迎えて、という気持ちなので、「年を取ったなあ」なんて思ったことはないです。でも、意識しなくてもだんだんに体は衰えるでしょううから、ずっと健康でいられるように体のケアはしています。ストレッチもやるし、なるべくたくさん歩くように心がけています。喉の筋肉が衰えて声が出にくくならないように、数年前からボイストレーニングもしています。あと十年は歌っていたいですからね。

何をやるにしても健康が第一ですから、こうして健康でいられるのは幸せなことだと思います。スポーツはあまりやらないタイプだったんですが、もっと体を動かした方がいいと思って、4、5年前からゴルフも始めました。一緒に回った方が楽しいので、妻にも勧めました。月1回くらいのペースで二人でコースに出ていますが、いい運動になっていますよ。

—全国の養護学校を訪問する「ふれあいコンサート」もやっているそうですね。後編ではそのお話を聞かせてください。

(後編に続く)
NEXT10 :
ミュージシャン・鳥塚しげきさん「音楽で、日本をもっと元気にしたい!」(後編)
2010年02月23日  読売新聞 YOMIURI ONLINE

「ザ・ワイルドワンズ」のライブだけでなく、様々な音楽活動を展開している鳥塚しげきさん。「音楽のすばらしさを、たくさんの人に伝えたい」と笑顔で語る鳥塚さんに、音楽への思いや前向きに生きるコツを聞きました。

今年はジュリーと一緒に、みんなを元気にします

—年間100日くらいは「ザ・ワイルドワンズ」のライブコンサートがあるというお話でしたが、全国の養護学校を訪問する「ふれあいコンサート」もボランティアでずっと続けていらっしゃいますね。

「ふれあいコンサート」は年4、5回の開催ですが、1983年から始めて、これまで27年間に110校を訪問しました。

—すごい数ですね。「ふれあいコンサート」を始めたきっかけは?

福岡県から障害者向けのコンサートを頼まれたのがきっかけです。「障害の重さも質も違う人たちに音楽を楽しんでもらおう」と工夫しながらコンサートをやったら、とても喜んでくれて、うれしくなってね。それで、「養護学校を回って、音楽の楽しさを伝えたい」と思ったのですが、いいコンサートをするにはお金がかかります。ちょうどその時期に安田生命のCMソングを歌う仕事があったので、担当の広報部長に自分の気持ちを話したら、「企業として応援しましょう」と言ってくれて。それからずっと応援してもらって、毎年数校を訪ねています。

養護学校の子供たちは僕のことなんか知らないわけですよ。だから、最初に派手な曲をやって子供たちの心をつかみます。『松けんサンバ』が流行っていたころは、あれをやると大ウケでしたよ。コンサートの半ばくらいのところで『思い出の渚』をやると、今度は先生やご両親たちが大喜びしてくれます。子供たちが飽きないようにピエロを連れて行って、手品を見せたりもします。最初はあまり反応の無かった子が、コンサートが終わる頃には笑顔ではしゃいでいるんですよ。音楽の力ってすごいなと思います。こうしたコンサートを通じて、子供たちが「音楽って、いいもんだなあ」と思ってくれたらうれしいですね。子供たちの喜ぶ顔が見たいので、これからもずっと続けたいと思っています。

—昨年は加山雄三さんとザ・ワイルドワンズでツアーでしたが、今年は沢田研二さんとツアーですか?

そうです。2月10日に『ジュリーwithザ・ワイルドワンズ』のシングルCDが発売され、3月にはアルバムを出します。そして、5月から全国ツアーに出発の予定です。ザ・ワイルドワンズのメンバーはみな60代、ジュリーも61歳ですが、みんな元気いっぱいだし、曲もすばらしいので、ぜひ聞いてほしいですね。僕らのコンサートを聞いて、同世代の人たちにも若い人たちにも元気になってほしい。今は、日本中に閉塞感が漂っている時なので、それを吹き飛ばすような歴史に残るコンサートをやりたいと思っています。

—それは楽しみですね。音楽の話をするときの鳥塚さんは、顔が輝いていますが、そんなふうにステキに生きるコツを教えて下さい。

好きな音楽をやっているというのはもちろんですが、健康で、友達がいることが大事だと思います。健康じゃないと演奏できないし、ライブに来てくれる人たちだって、元気じゃなかったら出て来られませんからね。こうして健康でいられるのは幸せですよ。あとは友人。友人がいると様々な出会いがあります。誘われて新しいことを始めたり、友人の友人に紹介されて、興味の幅が広がったり。年を取れば取るほど、友だちはありがたいなと思います。

—ほんとうにそうですね。では最後に、NEXT10の読者に、これからの10年をどんな風に生きると人生が楽しくなるか、アドバイスしてください。

おっくうがらずに、外に出て行動してみることをおすすめします。趣味がないという人も、家の中にこもらずに、とりあえず外に出かけるといいと思いますよ。新しい店ができたと聞いたら行ってみる、友人に「これがおもしろいよ」とすすめられたら、多少気乗りがしなくてもやってみましょう。人間、行動してみないとわからないことはたくさんありますからね。「やったら意外とおもしろかった」というものが見つかるかもしれません。たとえ自分に合った趣味がみつからなくても、あせらずにいろいろなことにチャレンジしてください。

それから、自分の好きなこと、やりたいことを口に出して言うのもおすすめです。僕はラジオの番組をやっているときに、番組のディレクターに「カントリーミュージックが好き」と言ったら、「僕も大好きです」と言われて、あっというまに親しくなった経験があります。人間の距離って、何か一言きっかけがあると、グッと近くなるものなんですよ。友人を作るには、そういう働きかけが大事だと思います。人生、自分だけでは何もできない、他人の助けがあって初めていろいろなことができるようになるわけですから、他人と関わろうという姿勢が大事だと思います。やりたいことを周りに吹聴して、いい友人を作ってください。(終)


鳥塚しげき(とりづか・しげき)
1947年東京都生まれ。1966年にザ・ワイルドワンズのメンバーとしてデビュー。『想い出の渚』など、数多くのヒット曲を作詞し、世に送り出す。バンド活動以外では、ボランティアで全国の養護学校を訪問する「ふれあいコンサート」を展開。2006年11月には、ザ・ワイルドワンズ結成40周年コンサートを日本武道館で開催した。「クラブ・ウィルビー」サポーティングメンバー。
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