第21回ミュージック・ペンクラブ音楽賞(第21回Music Pen Club音樂賞)
ポピュラー部門(流行部門) コンサート・パフォーマンス(日本人アーティスト)(演唱會演出獎(日本歌手)) 「沢田研二 還暦記念コンサート 人間60年 ジュリー祭り」 |
澤田研二的致謝詞
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3月30日東京芸術劇場/中会議室で行われな贈呈式での受賞者メッセージ
(3月30日東京藝術劇場/中會議室舉行的贈呈式的獲獎者致謝詞)
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ジュリーが来た!第21回ミュージック・ペンクラブ音楽賞贈呈式
2009年4月2日 (木) HMV ONLINE オンラインショッピング・情報サイト
沢田研二写真:江口和義
ミュージック・ペンクラブ・ジャパンとは...
音楽評論家・批評家たちが、各自の著述原稿にまつわる権利保護を目的とし、1966年に40名程のメンバーで発足しました。当初の名称は『音楽執筆者協議会』。設立時から、クラシック/ポピュラー/オーディオの会員たちが、分野を越えて参加し、交流をはかっています。音楽批評家やミュージック・ライターたちが作った日本唯一かつ全国規模の権益保護団体。言論をもって音楽文化の向上を目指すことを第一に、会員たちの著述物に附随する著作権攘護を目的に活動してきました。 近年では、当初に比べ、会全体として文化活動の比重も増すようになってきています。作曲家・文芸評論家・DJ・音楽学者・プロデューサー諸氏をはじめ、音楽関連の文筆執筆を兼務している人々が数多く名を連ねるようになり、会員内訳も多様化しています。1994年、ペンをもって音楽と係わる人材を集めた組織としての面に光を当て、従来からの『音楽執筆者協議会』の名称を改め、現在の『ミュージック・ペンクラブ・ジャパン』へとその名を変更しました。 2009年現在、会員登録は約200名。
「今まで41年間、歌手という仕事をしていたのは、この日のドーム公演を行なうためのものだったのではないかなと思えるほど、本当に嬉しい出来事でした」。(沢田研二)
2009年3月30日、池袋にある東京芸術劇場内にて行なわれた「第21回ミュージック・ペンクラブ音楽賞」の贈呈式。高名な音楽評論・批評家、さらには、音楽関連の文筆活動に携わる作曲家、文芸評論家、DJ、音楽学者、プロデューサー等々、音楽ファンであれば、誰もが一度はその名を目にし耳にしているであろう、名だたる音の文士が、年に一度、一堂に介するというこの「ミュージック・ペンクラブ音楽賞」贈呈式をリポートさせて頂きます。
今回HMVは、現在、ローリング・ストーンズ・ファン・クラブ顧問でもあり、ミュージック・ペンクラブの事務局長を務めていらっしゃる越谷政義氏(音楽評論家/DJ/MC/プロデューサー)よりご招待を頂き、取材に出向かせて頂きました。毎回、豪華な受賞者ゲストをお招きするというのも、この贈呈式のハイライトということで、これまでに、ハービー・ハンコック氏、曽根麻矢子氏、ルシア塩満氏、守屋純子氏、タイムファイヴのメンバーの方々、伊福部昭氏、アキコ・グレース氏といった錚々たる顔ぶれがご出席されたそうです。
今回、会場には、青木十良氏、原信夫氏、岩浪洋三氏、神谷郁代氏ら今回の各部門受賞者の方々、また、各レコード会社の上層役、制作担当の方々、そして、大勢の取材陣が陣取り、格式高いこの贈呈式ならではの華々しさと緊張感に終始包まれていました。
まずは、「クラシック部門」5項目の発表。
録音・録画作品(外国人アーティスト)
録音・録画作品(日本人アーティスト)
- サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
コンサート・パフォーマンス(外国人アーティスト)
- 神谷郁代
神谷郁代プレイズ・シューベルト
コンサート・パフォーマンス(日本人アーティスト)
- ロッシーニ・オペラ・フェスティバル日本公演
マホメット2世
著作出版物
- ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団
東京交響楽団2008年度サントリー定期演奏会:シューベルト・ツィクルス
- ダニエル・バレンボイム著 蓑田洋子・訳
バレンボイム音楽論 対話と共存のフーガ
海外から届いたサイモン・ラトル氏からの受賞コメント発表に引き続き、「録音・録画作品(日本人アーティスト)」部門を受賞された神谷郁代氏が、エヌ・アンド・エフ代表・西脇義訓氏とご一緒に壇上に上がられ、喜びのお言葉を述べられました。
神谷郁代写真:江口和義
「このような素晴らしい賞を頂きまして、びっくりと言いましょうか・・・、これは大変なことになったな、と感じております。私がピアノを弾き始めた時、最後までピアノを弾き続けて、あの世に行きたいなと思っておりましたが(笑)、今回の受賞ですごく勇気を頂きました。これからも頑張りたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。ありがとうございました」。
「コンサート・パフォーマンス(外国人アーティスト)」を受賞したロッシーニ・オペラ・フェスティバル日本公演。賞状の授与には、急遽、駐日イタリア大使であるヴィンチェンツォ・ペトローネ氏が代理としてご出席されました。
続きまして、「ポピュラー部門」5項目の発表。
録音・録画作品(外国人アーティスト)
録音・録画作品(日本人アーティスト)
- 映画:レスポールの伝説
コンサート・パフォーマンス(外国人アーティスト)
- 上原ひろみ
ビヨンド・スタンダード
コンサート・パフォーマンス(日本人アーティスト)
- ザ・フー日本公演
THE WHO MAXIMUM R&B JAPAN TOUR
著作出版物
- 沢田研二
還暦記念コンサート 人間60年 ジュリー祭り
- 岩浪洋三・著
これがジャズ史だ~その嘘と真実
「録音・録画作品(外国人アーティスト)」を受賞した「映画:レスポールの伝説」の賞状授与では、配給元であるポニーキャニオン代表取締役会長・佐藤修氏が壇上へ。「この映画は、ロンドンでは公開されたのですが、アメリカでは公開されず・・・ですが、日本では、この作品に惚れ込んだ多くの方のご支持もあり、上映することができました。本当にありがとうございました。」と、苦心の末に成就させることができた感慨深さは、何物にも替え難いといったご様子。キース・リチャーズも冒頭ブルース・セッション・シーンから登場する本作品は、ローリング・ストーンズ・ファンも必見です。
昨年の第20回贈呈式における「タイム・コントロール」に続いて、「録音・録画作品(外国人アーティスト)」を受賞したのは、上原ひろみ氏の「ビヨンド・スタンダード」。残念ながら、海外レコーディングの為欠席されたご本人に代わり、ユニバーサル ミュージック、クラシックス&ジャズ執行役員の青野浩史氏が壇上でコメントを発表されました。「上原ひろみは、先週ちょうど30歳を迎えまして、ますますパワーアップしたパフォーマンスをお見せすることができると思っております。4月には、スタンリー・クラークとレニー・ホワイトとのトリオで、アルバム『Jazz In The Garden』を出し、秋には、ソロ・ピアノ・アルバムをリリースする予定でおりますので、引き続きご支援の程宜しくお願い致します」。昨年4月のチック・コリアとの武道館公演の熱狂もまだ記憶に新しいところですが、このスーパー・トリオによる日本公演も是非実現してほしいものです。
そして、日本中のモッズ・フリーク、ロック・ファンを狂喜させた、ザ・フーの「THE WHO MAXIMUM R&B JAPAN TOUR」が、「コンサート・パフォーマンス(外国人アーティスト)」を受賞。ウドー音楽事務所興行部部長・長澤通孝氏より喜びのお言葉が。「デビューから40年以上経過して実現した初の単独来日公演ではありますが、まさに悲願達成ということで、素晴らしいコンサートとなりました。ピート・タウンゼントが武道館のステージに立ち、ギターを鳴らした瞬間のお客様のものすごい歓声というのは、私個人の記憶の中においても、いつまでも残るものとなるでしょう。今後も皆様の記憶に残るようなコンサートを主催していきたいと思っております」。
贈呈式もいよいよ佳境。ひときわ大きな拍手に送り出されて、壇上に上がられたのは、昨年11、12月に、還暦を祝して行なわれた初のドーム公演(大阪・東京)において、前人未到の6時間半にわたるコンサートを大成功させ、「コンサート・パフォーマンス(日本人アーティスト)」を受賞された沢田研二氏。今や、舞台公演、コンサート活動以外では、めったにメディアの前に姿を現すことのない沢田氏の登場は、文字通りのサプライズであり、また、歴史ある本贈呈式の権威たるものを十二分に感じさせるものでもありました。
沢田研二写真:江口和義
「本当に嬉しい限りです。このドーム・コンサートは、私の年齢・キャリアを考えると、もう無理なのでは?と正直思っていたことなのですが・・・無性にやってみたくなりまして、お客さんが本当に入ってくれるのだろうか?といった心配も含め、私にとっては、大きな賭けでもありました。ただ、やってみて本当に嬉しくて仕方なかったんです。実際3万人ものお客さんに集まっていただき、まだまだ歌を好きな人たちが多くいらっしゃるんだということが、とても嬉しく、また、初めてご覧になる人たちにも、楽しんでほしいという気持ちも強く湧き上がりました」。
「今まで41年間、歌手という仕事をしていたのは、この日のドーム公演を行なうためのものだったのではないかなと思えるほど、本当に嬉しい出来事でした。そのコンサートに、このような素晴らしい賞を頂きまして、心よりお礼申し上げます。これからも、もう少し頑張れそうです(笑)。ありがとうございました」。
日本人初の日本武道館単独公演、日本人初のスタジアム公演となった後楽園球場ライヴなど、数々の偉業を成し遂げたザ・タイガースでの活躍、当時の若者を熱狂させた洋楽志向の楽曲群やグラム・ロック的な斬新なヴィジュアルで日本の音楽シーンに革命をもたらしたソロ活動、「色気」と「翳り」を持ち合わせた独特の存在感で魅了した映画・TVにおける数々の俳優業、そして、多岐にわたる舞台活動。「永遠のスーパースター 沢田研二」は、時代を超越した真のエンターテイメントの覇者として、これからも走り、歩み続けるという強い意志を、ひしひしと感じさせてくれた喜びのスピーチ。「奇跡のジュリー」、これからの20年にも注目です。
興奮と感動冷めやらぬうちに、続いて、著書「これがジャズ史だ~その嘘と真実」で、「著作出版物」部門を受賞された岩浪洋三氏のご登場。
岩浪洋三写真:江口和義
「この本に投票して下さったミュージック・ペンクラブの会員の方々にお礼申し上げます。会場の中には、僕の本に投票されなかった方もたくさんいらっしゃると思いますが(笑)・・・それはそれで、いいんです(笑)。例えば、アフロ・キューバン・ジャズの歴史、黒人ミュージカルの歴史、ユダヤ人とジャズの深い関係といった、比較的、書きたい事柄を書いた本なので、受賞は大変に嬉しいことです。僕は、これまでに賞状をお渡しするプレゼンターの役は随分とやってきたつもりなのですが、賞を貰うのは、実はこれが初めてでありまして・・・この年になるまで一度も賞を貰ったことがないというのは問題でありまして(笑)、色々と反省をしなくてはならない点はたくさんあるのですが・・・反省はとりあえず明日からということで(笑)、今日は、この後の懇親会で皆様と美味しいお酒を飲んで、楽しくやりたいなと思っております(笑)。今日はどうもありがとうございました」。
氏の評論と同じく、明朗で軽快なユーモアを交えた語り口で会場を沸かせた岩浪氏。ジャズ評論の第一人者、オーソリティとして益々のご活躍をご祈念すると同時に、日本において「ジャズの未来」を明るくするには、やはり、もっともっと若い世代のミュージシャン、プロデューサー、ライター、小売り業、プロモーターを含む関係者諸氏が、汗水流してリードしていかなければならない、ということを痛感させられた一場面でもありました。
「オーディオ部門」2項目は以下の通り。
録音録画
技術開発
- オーパスアルテ
Opus Arteレーベルのオペラ、バレエの一連のブルーレイディスク
- デノンDCD-SX (SACD/CDプレーヤー)
昨年より、日本のDVDマーケットでは、ブルーレイディスクに方式が統一され、消費者から俄然大きな注目を集めていることもあり、英オーパス・アルテ・レーベルの一連の作品を日本に流通している輸入・販売元クリエイティヴ・コア代表取締役社長・須藤勝味氏は、受賞の喜びと共に、こうしたコメントを残されていました。「現在、ブルーレイディスクの普及率は、まだまだ数パーセントではありますが、テレビの薄型・大画面の高品質化、2011年からのデジタル放送化と、これからの2年において、かなりのマーケットの広がりが期待できるのではないかと睨んでおります」。 はたして、2009年は、ブルーレイディスクのシェア飛躍元年となり得るのでしょうか?私共、音楽ソフトの小売りにとっても、ここが正念場なのであります。
最後は、「特別賞」の発表。
特別賞
特別賞
- 青木十良
- 原信夫
音楽界に長年にわたり多大なる貢献・功績を残された方に贈られる「特別賞」。近藤秀麿ら日本クラシック音楽界の礎を築いた人々と活動を共にしたことで知られ、現役チェリストとしては世界最高齢と云われる93歳にして、今なお魅力的な演奏で聴衆を魅了する青木十良氏は、後進の教育・指導者としての功績も称えられ、今回の受賞となりました。
青木十良写真:江口和義
「90を3つ過ぎておりますが、例えるならば、ブレーキの利かない車が曲がり角に差し掛かり、入ったその先には砂漠があり、エンストを起こした。そのような感じでございます(笑)。これから一体、何が起こるかは分からないといった具合でして(笑)。とにかく、今までやってきましたことを、こうして報告させていただけることが、非常に嬉しく思います。ありがとうございました」。
そして、もうお一方は、58年間にわたり、日本を代表するビッグ・バンド、シャープス&フラッツを率いて、わが国のジャズ・シーンをリードしてきた、テナー・サックス奏者、原信夫氏。81歳になる今年、現在行なわれている全国ツアーをラスト公演として、第一線から退くことを明らかにしておりますが、ニューポート・ジャズ・フェスティバルなど世界のジャズ祭への参加や、多くの来日ミュージシャンとの共演による世界的な評価、また、美空ひばり(『真っ赤な太陽』は原氏の作曲)、江利チエミといった戦後のスターの興隆をバック・バンドとして支えるなど、戦後の日本ジャズ/ポピュラー界に与えた計り知れない功績が称えられました。
原信夫写真:江口和義
「こちらに来るまでは、どのような賞を頂けるのか、全く分かっておりませんでして(笑)、会場に着いてから友人に尋ねましたところ、この賞は、大変な賞だぞ。あらゆるジャンルの中から年間に1人か、2人しか選ばれない特別なものなんだ。しかも、これを貰ったら、すぐに亡くなる人も多いんだよと(笑)。頂いた以上は、覚悟しております(笑)。最近、”寄る年波には勝てず”という言葉も身に沁みまして、バンドを解散するためのファイナル・ツアーを現在行なっております。最後の最後に、このように立派な賞を頂くことができまして・・・終わり良ければ、全て良しということで(笑)。ありがとうございました」。
青木十良氏、原信夫氏、さらには、岩浪洋三氏が持ち続ける「音楽愛」、そこに附随する不屈のフロンティア・スピリット、そして、一握のユーモア、これこそが日本の音楽シーン全体に活気を与えるものであり、また、現在の同シーンに最も欠落している部分なのではないかと、今回、各受賞者の方々のコメントを拝聴し、率直にそう感じました。
音楽とヒト、芸術とヒトとを結び付ける中に、最も必要とされるもの、あるいは、最も必然性のあるものとは何か? その答えを導くヒントが、各受賞者の方々の一語一語に見え隠れしていたようにも思えます。
最後に、今回このような素晴らしい贈呈式に参加させて頂けましたことを、越谷政義氏に心より感謝致します。ありがとうございました。
(レポート/テキスト構成:HMV )
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