澤田研二新聞2010: JULIE with THE WILD ONES 加瀬邦彦訪問


始動した新バンド「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」の加瀬邦彦さんのインタビュー
Yorimo Online
このページのテーマ:    音楽    テレビ

夢はオリコン1位 やんちゃな「アラ還バンド」で日本に元気と夢を与えたい

 ジュリーこと沢田研二さんとザ・ワイルドワンズが、新たにバンド「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」を結成し、10日に初シングル「渚でシャララ」(発売元:エイベックスJ-more)を発売するなど活動を始めた。「アラ還世代」のバンドが活躍することで日本に元気と夢を与えたいというプロジェクト。メンバーで結成のきっかけを作った加瀬邦彦さんが、結成の経緯や活動に込めた願いなどを語ってくれた。

沢田さんは、グループ・サウンズ(GS)の代表的な存在だったザ・タイガースのメンバーとして活躍し、ソロとなってからも「危険なふたり」や「勝手にしやがれ」など数々のヒット曲と伝説を残したスーパースター。2008年には還暦を記念した東京ドーム公演と京セラドーム公演を大成功させ、健在ぶりを見せつけた。一方、ザ・ワイルドワンズは1966年に出したデビュー曲「想い出の渚」を大ヒットさせ、さわやかな湘南サウンドを提示。解散、再結成を経て、今もずっと歌い続け、音楽の楽しさと喜びを伝え続けている。

沢田さんと加瀬さんの関係は深く濃い。ソロになった沢田さんをプロデュースしたのが加瀬さんだった。そのきっかけは、沢田さんがソロになって2年目に当たる1972年のヒット曲「許されない愛」だった。

「まだワイルド・ワンズをやっていた僕が、『許されない愛』を作曲して、ロンドンでレコーディングしたら、出来がよかった。で、僕が『絶対シングルにしたほうがいい。1位にはならないかもしれないが、ベストテンには入る』と力説したら、結局、チャートでトップテンに入った。これをきっかけに、沢田のコンサートの演出をやるようになって、結果的にプロデュースも手がけ始めた。13年ぐらいやりましたね」

沢田さんの代表曲の一つの「危険なふたり」は加瀬さんが作曲した。作詞は、当時を代表するヒットメーカーだった安井かずみさん。年上の女性へのかなわない恋心を、しゃれたメロディーにのせて歌ったポップスはヒットチャートを駆け上がり、1位を獲得。同年の日本歌謡大賞に輝いた。


「僕が先に書いた曲に、ズズ(安井さんの愛称)が歌詞をつけた。レコーディングした時にヒットを確信した。ところが、渡辺プロダクションの会議でこの曲がB面にまわされることになった。で、ジュリーとズズに電話して、飯倉のレストラン、キャンティに集まって作戦会議。で、タイトルを『危険なふたり』に変更して、もう一回、渡辺プロに行って、渡辺晋さんに直訴して、A面にしてもらったの。メロディーにはフレンチ・ポップスぽいところがありますかね。当時、僕はフレンチ・ポップスが好きだったから。ミッシェル・サルドゥとか。歌謡大賞とった時は、ムッシュ(かまやつさん)とズズとロンドンに行ってたんです。明け方いきなりホテルの部屋に電話がかかってきて、出たら、高島忠夫さんの声で『おめでとうございます。歌謡大賞受賞です』って。生中継だったんですねえ。びっくりしました。事前に一言教えてくれればいいのにねえ」

2006年、ザ・ワイルドワンズが40周年を迎えた記念に、初めて東京・日本武道館でコンサートを開催した。その際のゲストが沢田さんだった。

「普通、ああいうところでやるとたくさんゲストを出すでしょ。それが嫌だったんで、ジュリーだけ出てもらおうと思った。1、2曲歌ってひっこむんじゃなくて、コーナーを作って、もしも、ジュリーがワイルドワインズのメンバーだったらというコーナーを作って 30分ぐらいやろうと思って。ジュリーに話をしに行ったら、『やらせてもらいます』と言ってくれたの。この時の思い出が今回の再結成の遠いきっかけになってるね」

ジュリーをワンズに引き寄せる 新曲は明るく弾んだリズムのポップス 

 ところで、ザ・ワイルドワンズといえば、俳優で歌手の加山雄三さんとの縁も深い。何しろ、バンド名は加山さんが名付け親。武道館公演の際のゲストはなぜ加山さんでなく、沢田さんだったのか。

「加山さんとはそれまで何度も共演したりして、当たり前過ぎるなと思って。だから、最初は、加山さんには『たまには客席から見ていてください』と言おうと思っていた。しかし、次第に、やっぱり加山さんを出さないわけにはいかないと思い始めて。加山さんが来ることは決まっていたんで、アンコールで一曲歌ってもらいましたよ。それも『客席から出てきて歌ってくれませんか』と失礼なお願いをして、結局歌ってもらいました」

新バンド結成への直接的なきっかけが訪れたのは、一昨年の2008年だった。この年、沢田さんは、還暦を迎えたのを記念して、11月29日に京セラドーム大阪、12月3日に東京ドームで、「人間60年・ジュリー祭り」と題した大規模なコンサートを開催。二日間で約5万4,000人を集め、両日とも約6時間半で80曲近い楽曲を歌いきり、話題を集めた。その数日後、沢田さんと加瀬さんは、東京・銀座で会食した。結成にまつわる具体的な話が出たのは、その席だった。

「東京ドームのコンサートの打ち上げで、『よかったね。落ち着いたら飯食いに行こう』ってなって、三日後ぐらいかな、銀座でご飯を食べた。東京ドームのステージで、ジュリーが『オレは夢みる男じゃないけど、みなさんに夢をみさせてもらいました』としゃべったのが妙に記憶に残っていて。で、オレが『ジュリー、もう一個夢見させてやるよ』と言ったの。ジュリーが『えっ、何ですか』と言うから、『オリコンで一位とるんだよ。ジュリーとワイルドワンズでCD作って一位とるんだよ』と言った。そうしたら『おもしろいですね。やりましょうよ』。それから具体的に動き出した」

加瀬さんが思い浮かべた新バンドのイメージは、実はあの武道館公演にあった。「ジュリーがワイルドワンズに入ったらどうなるか」。これが原点だった。

「ジュリーは今まで散々いろんなことやってるから、ジュリーに寄ったものはやりたくなかった。ワイルドワンズにジュリーを合わせる。そうすると新鮮なものが出てくると思った。あくまでもワイルドワンズの雰囲気で作りたかった」

松田聖子さんらの楽曲で実績のある作詞家、三浦徳子さんに歌詞を依頼。出来上がったものに、加瀬さんが曲をつけた。それが初シングルとなった「渚でシャララ」だ。TBS系テレビ「ひるおび!」の1月度のエンディングテーマ曲としても流れて、好評を博した。

「三浦さんにも歌詞を数回書き直してもらった。普通、僕は歌詞先行ではやらないけど、今回は仕方なかった。メロディーを作っていて考えたのは、弾んだリズム。今、日本の音楽界には、明るいポップスがない。若いやつの音楽も、若いくせに妙にしんみんりしたのが多いし、あとはR&Bやヒップホップばかり。今年は昨年よりもっと暗い時代になるだろうという思いもあって、ノリのいいリズムが必要だと思った。そう、聴いていて、思わず気持ちが開放的になってくるような、そんな曲に仕立てたよ」

がんばる60代のお手本になるような活躍みせたい

その言葉通り、この曲に耳を傾けていると、確かにさわやかな風が吹いてくる。この作風は、3月に発売される初アルバム「JULIE with THE WILD ONES」にも共通している。全10曲のうち、加瀬さんが作曲した楽曲が5曲、沢田さんによるものが1曲、残りの4曲は亀井登志夫さんや吉田Qさんなど年下の音楽家が手がけている。

「僕とジュリー以外の曲は、いろいろなところから曲を集めた。オーダーしようと思ったけれど、頼んだら、そっちにひっぱられちゃうなと思ったから。全部で100曲ぐらい集めた中から選んだ。僕の持っているアルバムのイメージとか、今の時代に必要なメロディーが選択基準。年下の人が多いから、歌詞の内容も若い。僕らおじさんがこんな歌を歌っていいのかと思ったけれど。人生をまともに歌うより、こっちのほうがおもしろいと思った」

メーンボーカルは曲によって変わる。大半の楽曲では沢田さんがとっているが、「僕達ほとんどいいんじゃあない?」では加瀬さんがとっている。さらに、「渚でシャララ」のように、一曲の中で次々とボーカルが変わっていく曲もある。印象的なのは、その歌声からは肩の力が抜け、実に楽しげな雰囲気が漂ってくる。

「『プロフィール』という曲が鳥塚(しげき)が歌っているんだが、あの時は実は大変だった。でも、結果的にいい感じに仕上がってるでしょ。『僕達ほとんどいいんじゃあない?』は最初ジュリーに歌わせてみたら、固い。『もっとふざけて歌ってみてよ』と言っても、アイツはまじめだから、雰囲気は変わらない。『じゃ、僕が歌うよ』ということで僕が歌うことになった」

その言葉からは、様々な経験を積んだベテランたちが楽しみながら、レコーディングしている様子がうかがえる。さて、CDの売り上げは減り続け、日本の政治も経済も閉塞(へいそく)状況にある中、このバンドが活動する意義をどこに求めているのか。

「僕は、『オリコンで一位をとろう』と言っているんだけど、おれたちがこの曲でオリコン一位とったら、日本が変わると思ってるのね。10代や20代のバンドや歌手がとったって、それじゃ日本は変わらない。おれたちが一位とらないと。そうすると、50、60代の人が元気になる。『えっ、あのオヤジたち、楽しそうにやって、元気で、しかも一位にまでなっちゃうの。おれたちも何かできるかな』と勇気を与えられる。そうした熟年層が元気になると、政府も老人の医療費がかからなくなるし、そういう人たちは日本の礎を作ってきた人だから、経済にもいい影響が出るはず。今は若い人が夢を持っていないから、なおさら、60代がもう一回がんばらないと。その手本になるように活動していきたい」


(取材/文・ヨリモ編集デスク大野宏)

 プロフィルと最新情報

【メンバー】
沢田研二(ボーカル)
加瀬邦彦(ギター)
鳥塚繁樹(ギター)
島英二(ベース)
植田芳暁(ドラムス、ギター)

【最新情報】
「僕達ほとんどいいんじゃあない」と題した全国ツアーを5月28日、東京・渋谷のC.C.Lemonホールを手始めにスタート。ツアーは8月1日まで行われる予定。

「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」の公式サイトはこちらから。
沢田研二さんの公式サイトはこちらから。
ザ・ワイルドワンズの公式サイトはこちらから。

ジュリーwithザ・ワイルドワンズ

最新シングルCD「渚でシャララ」

「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」の東京・愛知・大阪のライブに各1組2人ずつ招待

10日には初シングル「渚でシャララ」を発売し、始動した新バンド「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」が、東京(5月28日、渋谷C.C.Lemon ホール)、愛知(7月24日、愛知県芸術劇場)、大阪(6月29日、大阪グランキューブ)で開くライブにそれぞれ1組2人ずつ、抽選でヨリモ会員を招待します。「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ」に関する簡単な質問に答えていただき、正解した方の中から当選者を決定します。
応募締め切りは3月31日(水)。
応募はこちらから。
Keywords: 沢田研二, 澤田研二, Kenji Sawada, ジュリー, Julie, , JULIE with THE WILD ONES, ジュリー with ザ・ワイルドワンズ, ジュリー・ウィズ・ザ・ワイルドワンズ, ザ・ワイルドワンズ, ザ・ワイルド・ワンズ, The Wild Ones, 加瀬邦彦, Kunihiko Kase, 加瀬邦彥, 加瀨邦彥, 鳥塚しげき, 鳥塚繁樹, Torizuka Shigeki, 島英二, Eiji Shima, 植田芳暁, 植田芳曉, Ueda Yoshiaki, がしあき, 唱片, 細碟, 單曲, single, cd, シングル, 渚でシャララ, Nagisa De Sha La La, Nagisa De Shalala, 日本音樂, 日本組合, 日本樂隊, Japanese music, Japanese band, Japanese group

5 Comments:


發佈留言

- 如沒有帳戶可選Name/URL(名稱/網頁)留言
- 按下Subscribe by email(電郵訂閱)可跟進本篇文章的留言(小貼示:留言前先訂閱可把自己的留言寄回給自己)

Please choose "Name/URL" to leave your comment if you don't have account.
Click "Subscribe by email" if you want to follow up the comments of this article.